日本人だから、日本に住み続けなければいけないということはありません。
もちろん、生まれ育った場所が合っている人もいます。それでももし日本に何か違和感を持っていたり違う環境で挑戦してみたいと思う人は、海外というのを視野に入れてみてもいいかもしれません。
明確な理由がある場合は別として、単純にその国が好きとか漠然と日本が嫌いだから海外に出たいという人も多いのではないかと感じます。
残念ながら好き嫌いだけでは、どうにもならないのが海外移住です。どんなにその国が好きだと説明してもそれだけでは仕事は見つけるのは難しいですし、もちろんビザなんて発行してもらえません。
今回は、日本が合っていないと感じている方に向けて、私が海外生活・海外起業で感じることを書いていこうと思います。
1. ポーランドで日本人は価値ある希少人材です。
ポーランドにいると、日本人であるというだけで、日本語が話せるというだけで、憧れの眼差しを持って接してくれる人がいるのも事実です。(すべての人がそうであるわけではないですが。)
先人が築き上げてくれた、日本に対するポジティブなイメージに感謝する毎日です。
日本ではどこにでもいる平凡な日本人でしかなかった私が、
- 勤勉でまじめ
- 時間に正確
- 協調性がある
- きれい好き
- 日本語が話せる
- 日本食が作れる
という一歩海外に出るだけで特別な存在になれるのです。
これらは単なるステレオタイプではなく、平均的な日本人であればほとんどのヨーロッパ人と比較してかなりの確率で上記に当てはまります。
むしろヨーロッパで仕事を始めると、同僚の怠慢さ不真面目さ時間の守らなさに、馴染めずに苦労する人も多いです。
これを体感して改めて、窮屈だと感じていた日本人の勤勉さや時間への正確さが居心地よく感じて、やっぱり日本人だったんだなと思い知らされることも多いです。
– 日本人として当たり前に培ってきた常識が、特殊能力に変わる。
日本では当たり前のようにすべての人がしていることが、世界では決して当たり前ではありません。
実際に私も日本にいたときには、大雑把な性格で事前に詳細を確認することなんでできないと思っていました。
でもポーランドに来てみたら、この場所では自分が一番細かいところまで気になるし、責任感を持って最後までやり遂げる能力があったんだと気がつきます。むしろどうして他の誰も気が付かないんだと不思議に思うことすらあるほどです。
– 日本のカスタマーサービスは世界一。
日本ではよく接客やサービスがいいなんて言われたりします。
日本人にとって当たり前のサービスをすればポーランド(世界中で)では、「なんて素晴らしいサービス!またぜひ利用したい!」となるわけです。日本人の感覚でカスタマーサービスができれば何も特別なことをする必要なんてありません。
例えば洋服屋でいらっしゃいませと言うとか、レストランで水とおしぼりが無料で出てくるとか、そんな当たり前のサービスというほどでもないような些細なことが喜ばれるのです。
2. 日本らしいスキルを持っている人が重宝されているのは確か。
書道やマンガ、着物の着付け、太鼓、日本料理などなど、やっぱり海外の人が興味のあるものができればチャンスは高まります。
それが例え日本ではプロフェッショナルなレベルではなくても、海外に出ればそれほどレベルが高くなくてもそのパフォーマンスだけで感動してもらえる可能性が高いです。
もちろんレベルが高いに越したことはないけど、「資格がないからダメだ」とか「しっかり勉強したことがないからダメだ」とかそんなことはまったくないです。
ご飯が炊ける。みそ汁が作れる。ただそれだけで、海外では「すごい!!どうやってやるか教えて!」となる。決して旅館で提供されるような豪華な食事を作らなければいけないということはありません。
現在ではポーランドで会社を起業し、日本食販売・コンサルタントなど行っていますが、ポーランドに移住したばかりの頃は日本語を教える仕事をしていました。
日本語教師などの資格を持っているわけではありません。ただネイティブスピーカーというだけで「教えて欲しい!」という人が定期的にかなりの数現れるのです。
3. 希少な人材だからといっても、需要がなければそれもまた意味がない。
例えば、アフリカの田舎に言って「私、日本人だよ!希少人材だ!」と声高に主張しても、その地域の人が日本に興味がないなどそもそも需要がなければ仕事なんてあるわけない。仕事なんてどこでだって作れるなんて言う人がいるけど、それでもやっぱり需要ありきの話。
珍しいことは確かかもしれないけど、珍しいということを生かして何ができるのか。ここで私には何ができるのかと言うのを考える必要がある。
海外といっても、中国やアメリカ、オーストラリアなどすでに日本人がたくさんいるところでは、日本の外に出たからというだけでは希少人材にはなれない。。(出ないよりはいいのかもしれないけれど)
これらの国では既に日本人がたくさんいるから、ビザを取得するには何かしらのスキルや高額な資本金の証明が求められることがほとんど。
– 日本で外国人を迎える立場になって考えてみるとこう。
・アメリカ人の場合。
日本にはたくさんのアメリカ人がいる。
英語教師になろうにもすでに飽和状態だし、アメリカの国民食ハンバーガーショップを経営しようにもすでに競合店が数え切れない程ある。
どうしても先に始めた先行者が優位であるし、画期的なアイデアを駆使・もしくは大量の資本金がない限り、残念ながらこれらの競合には敵わない場合がほとんどである。
このどちらでもない場合、アメリカ人が日本で希少人材になるためには何かしらのスキルを持ち合わせている必要がある
・スウェーデン人の場合
それでは、スウェーデン人は?
スウェーデンと言えばこれだ!とパッと思いつく人はどれくらいいるでしょうか。
これと言って何か特別ものはないかもしれない(悪口ではない。)けどスウェーデンってなんだかポジティブでおしゃれなイメージがあるし興味がある。
東京にスウェーデン風カフェがあれば、珍しさもあり遠方から時間をかけてわざわざ訪れる人がいるかもしれない。
そのスェーデン人は特別な才能や知識を持っていないかもしれません。でも日本では本格的なスウェーデン伝統料理を味わうことよりも、家庭料理を食べてみたいと思う人の方が多いでしょう。もしくは料理は二の次でスウェーデンにいるような擬似体験に期待を抱いていることだってあるでしょう。
例えば、イケアに行くとする。最新機能を備えた家具がある訳でもないし、レストランに特別美味しいメニューがある訳でもないけど、少なからずわくわくするのはなぜでしょう。そこにしかない特別感と海外旅行をしている気分のような非日常が味わえるからでしょうか?
ただし、ただただ珍しいからと言って日本人にはまったく知られていない国からやってきてカフェを開いても集客には苦労するかもしれませんよね。
4. まとめ:自分が特別になれる場所を探す努力を。
「羽生善治に野球をやらせよう」「昨年から大谷翔平が茶道をしている」と言うのが話題になりましたね。羽生善治さんは日本一の将棋史であって、野球とはなんの繋がりもない人ですし、大谷翔平選手も将来を期待されるメジャーリーガーです。
こんな例を見ると、適材適所が大事というのが手にとるように分かりますね。
それが例え日本国内であっても適材適所というのは基本中の基本であって、誰でも向き不向きがあって当然のことです。
日本でずっと悩んでいたことが一歩外に出てみたら何事もなかったことのように解決するかもしれません。ただその場所に生まれたというだけで住んでいた日本が”適所”ではないのかもしれません。
もちろん海外は夢の国ではありませんので、また違った問題も出てくることでしょう。
それでもその場所で生きがいを感じられるのであれば、自分にとっての適所で人生を過ごすことを止める権利は誰にもないように思います。
私の場合は、希少人材になろうと思ってポーランドに来たわけではないですが、結果としてそうなっているような気がしています。
ポーランドでは現在のところまだ日本人というだけ(特別なスキルがなくても)で、起業が成功しやすかったり、仕事が探しやすかったりするのは否定できないと思います。
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